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ちなみに唯愛という名前は、たった一人、生涯を自分と共に過ごし、深く愛せる人を見つけてほしいという願いから来ている。
そのときの二人が、そうだったように。
実際、名前は自分のそのときの惚気からきているんだけどさ。
いい名前ではある。俺でもそう思う。
確かに、二人の願いは叶いはした。
が、何処で歪んだのか、その愛が俺にやってきた。迷惑極まりない。
「絶望じゃないよ。むしろハッピーだよ。仕方ないなーお姉ちゃんが傷を癒してあげる!」
癒されるべき傷なんてない。というか、逆に癒されない。
「俺、友達の家に泊まりいくわ」
パソコンに映し出されているあかりちゃんの画像を『嗜好画像』というフォルダに保存し、電源を落とした。
そして、いろんな意味でふらふらとするその体で、財布だけ持って部屋を出て行こうと立ち上がる。
「ダメ!」
しかし、姉に止められる。何故か大袈裟に抱きついてきながら。
「というより行っていいの? そんなことしたらお姉ちゃんはたっくんの部屋に入って、枕に顔を押しつけて思いっきり息を吸ったり、ごみ箱の中にある、たっくんの男の匂いが染み付いたティッシュを漁って、すーはーしたり、タンスの中の下着を部屋に敷き詰めて今日の使用済みを、鼻に押しつけてくんかくんかしちゃうよ!? いいの?」
俺が姉のその程度の変態行動で止まると思っているのか。なんせ……
「それって、俺が帰ってくるまでの間に、お前がいつもやってることだろ?」
「う……!? なんでそれを」
驚いている唯愛をみて、溜息を吐いてから答える。
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