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「うん。いいよ。あがりなよ」
「そうか。ありがとう」
お礼を言って中に入る。
こいつは俺のクラスメートで、中岡(なかおか)大輝(だいき)。
俺の姉のような特殊性癖はない。
と言うのも、俺の知り合いにはそういうやつ……変態が多いのだ。
正直そいつらは、一緒に居るのも少し面倒くさいと感じるから、そいつらの家に泊まりに行くとか考えられないし、選択肢なんて最初からこいつくらいしかいないけど。
まぁ、俺の知る限りこいつは、一番まともなやつだ。
そして今日泊めてくれといったら泊めてくれた。
今大輝は一人暮らしをしていて、結構気兼ねなくこういうことは頼める。
高1の時も姉が発情期のように暴走していた時があったのだが、そのときも頼んで泊めてもらったことがある。
しかしあの時はやばかったなぁ。
朝起きると、俺裸にされていたし。俺の横に唯愛も一糸纏わぬ姿でいたし。
この時もちょうど、両親は出張でいなかったけど。
だからこそだろうな。既に前科があったから、不安に感じたんだ。
「食事は?」
部屋の中に入って、俺がソファに座ったところで話し掛けられる。
しかし、一人暮らしの癖にソファがあるなんて金持ちなやつだな。
「大丈夫だ。食べた。それに風呂も入ったから、寝床だけ提供してくれればいい」
「そうか。じゃあ俺風呂入ってくるから」
「ああ」
大輝は風呂へ向かっていった。
*****
何となく部屋の中を眺める。
部屋も派手じゃなく、飾らない感じで、本当に普通だって思える。
でも、家具の類を見るかぎりでは、羨ましいほど充実しているけど。
そんなことを考えながら途中コンビニで買った、ペットボトルのお茶(あったか~い)の蓋を開けて飲む。
「……ふぅ」
うまいなぁ~~……お茶って。
「巧人」
ほっこりとしていると風呂場のほうから、くぐもった声が聞こえた。
「なんだ?」
「いや、実はいつものノリで、着替えを部屋に置いたままにしてたんだけどさ。そっち、行ってもいいか?」
「ああ、別に構わないけど」
「そうか。ありがとう」
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