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『きて……ださい……ま』
ん? なんだ? どこかで聞いたことがあるような声が……。
『起きてください! ご主人様!』
!? な、なんだ! この光景は!?
『やっと起きてくれましたね……もう! 毎朝起こすほうの身にもなってくださいよ』
そんな馬鹿な……! な、なんでリオちゃん(9)が、俺の目の前に!? しかも……しかも、メイド服だと!?
『もう、何言ってるんですか? これはこうしろってお兄ちゃ……ご主人様がそう言ったからでしょ?』
俺が言っただと……?
いやそれより、何故リオちゃんがいる? それに、さっきのお兄ちゃんって……
『もう、本当に何言ってるんですか? 私たち……兄妹になったんじゃないですか』
兄妹……妹だと? ははは……そんな馬鹿な。
あの両親が別れるなんてありえない。これは夢だ。夢に決まってる……。
『それとも……お兄ちゃんはやっぱり、私のこと妹だなんて思ってくれないのかな?』
!? そ、そんなわけないだろ! リオちゃんが妹になってくれるなら、嬉しいに決まってる!
俺じゃ兄としては頼りないかもしれないけど……でも!
……リオちゃんのためなら、俺はどんな自分にだってなるよ。
『お兄ちゃん……じゃあ――』
リオちゃん、そんなはしたない! なんて格好を!
『やぁ~あ……私のことは、リオって……呼んで?』
!? ……ああ。分かったよ。リオ。
『じゃあ、私のお兄ちゃんへの本気……もらってくれる?』
もちろんだ。その本気もちゃんと伝わってる……だから――
「うお――! リオー!」
そうしてベッドに仰向けになり、スカートをたくし上げていたリオに覆いかぶさろうというところで、目を覚ました。
「……………………」
辺りを見回す。ここは……大輝の家だな。
うん、横では未だに寝息を立てて大輝が寝ているし。そうだったな。昨日は泊まりにきたんだ。
数秒間その状態で固まった後、理解した。
(やっぱり、夢かよ!)
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