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今日はひさびさに、昼は学食になるな。
そんなことを考えながら、俺は学校へと向かった。
*****
補足しておくと唯愛と俺は学校が違う。
唯愛は俺の一つ年上で、唯愛が先に高校へと入学したので俺は別の学校を選んだのだ。
これには理由があって、唯愛が中学二年生のときが、一番ひどい時期で――それ以前はそれほどでもなかったが――あのときから唯愛に特別な苦手意識をするようになったのだだ。
もしかしたら、俺が小さな女の子を好きな原因は、そこにもあるのかもしれない。
とにかく、学校にいる間は唯愛と出会うことはないということだ。
いたら大変だろうな。
休み時間になるたびに俺の所に来ては、人目も憚らず、抱きついてきたり(体験談)。
昼ご飯はあーんさせてきたり(体験談)。
それだけじゃなく、俺達のことをよく知らないやつらが、二人は恋人同士だとか噂をしたり(体験談)が起こるだろう。
特に最後のは、真面目にやめてほしい。
最悪だ。最悪すぎる。
しかも横で、照れて顔を赤らめる唯愛の姿が目に浮かぶ。殴りたくなる。
あいつは妖艶な体を持っているから、そういう勘違いをされれば喜ぶものは多いだろう。しかしそれは一般論であり、俺はあれはダメだ。
そういった点から、俺が学校を変えたことは必然と言えるだろう。
*****
学校に着いた。
「おはよう」
「おはよう」
大輝にあいさつをして席につく。
そのあと、大輝は他のやつらとお喋りを再開した。
このクラスには大輝以外に話せる人がいない。
俺は何となく、この先のことを考えた。
……ああ、そういえば今日は部活があったな、とふと俺の脳裏をよぎる。
だが、そんなことは特に気にも止めず、俺は残りの時間は考えることもやめ、ただ過ごした。
そうして、退屈な授業も終え、放課後になった。
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