僕と他人の見分け方

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さて、どこかの店に入ろうかと思ったところで、先ほど駅で労働量を使い果たしてしまったことに気づきました。僕はなんて馬鹿なんだと自責の念にかられました。 九、頭の作りが違う。 そう書いたあと、またも二重線で消しました。僕たちの能力は全く同じです。僕たちはなんて馬鹿なんだ。 こうして、大した結果も得られずに帰路につきました。結局、自分なんて見つからなかったのです。 自宅について溜め息を吐くと、僕の両親のどちらかと思しき人が僕に話しかけてきました。 「少し落ち込んでいるみたいですね。今日は何かあったのですか」 それを聞いて、僕はこう答えました。 「僕が落ち込んでいるのだとしたら、何かあったからではなく、何もなかったからだと思います」 そうなのです。何もなかったのです。僕と他人を見分ける方法が、何も見つからなかったのです。 「そうですか。何を言っているのかよくわかりませんが、あなたは落ち込んでいるのでしょう」 その人はそう言って、手鏡を僕の方に向けました。そこにはひどく悲しそうな僕の顔がありました。 九、表情が違う。 いえ、人は落ち込んだ時に必ずこんな顔をするのでしょう。こんなものでは見分けられません。
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