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僕は、アメリカンショートヘアっていう種類の猫なんだって。
名前は“チョコ”って名づけられた。
ペットショップに並べられていて、13万円で買われてこの家にやってきた。
家にはもう先輩猫がいて、
耳の垂れたスコティッシュホールドのモモちゃんが20万円で、
足の短いマンチカンのマロンちゃんは25万円だったそう。
僕は、窓の外を見ながら思った。
外にいるあの猫と僕たちは、なにが違うんだろう。
野良猫っていうんだって、先輩猫に教えてもらった。
僕たちみたいに、高級な猫じゃないんだって。
ただの、無料の、0円の猫なんだって。
でも、僕には、どうして値段の差があるのかわからない。
黒と白とグレーのまだら模様の僕より、
黒一色のあの子のほうが素敵だし、
茶色いトラ模様のあの子は明るい色できれいだし。
僕の飼い主は、スーパーマーケットの特売で野菜が安く買えたと喜んでいるのに。
隣の奥さんからただで物をもらったって、喜んでいるに。
外にいるあの子たちのことは知らんぷり。
無料なのに、 知らんぷり。どうしてだろう。
なんだか心がもやもやする。
だから、僕は、旅に出ることにした。
なんだかわからないけど、このもやもやする心の答えを探すために
僕は、旅に出た。
晴れた日に、裏庭に出しても らって日向ぼっこしていたんだけど、
いつもは超えない塀を、ぴょーんと飛んでみた。
思いのほかあっけなく家の敷地の外に出ることができた。
飼い主は「わあ」と、慌てた声をだして、表の玄関から追いかけてきたけど、
僕の足は速くて、あっという間に家から離れて、飼い主はすぐに見えなくなった。
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