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「あの、竹中さん。大志くんも分かったと思うし、今日はもうここまでにしませんか?ねっ、大志くんもちゃんと分かってるよね?」
牽制するような目で、何度も頷く大志くん。
かなり、怖がっている。
「坊ちゃん。私めの忠告、どうか聞いてくださいね」
竹中さんはそう言って、先に家に入って行って。
取り残された私達二人は、それを見届けたと同時にホッと一息ついた。
「…雫、知紗は何が言いたいのだ?」
「分かんない…」
古賀さんが越してきて旦那様が嬉しいって言うのは、知ってるけど…それと何か関係でもあるのかな。
でもあんな真顔の竹中さんなんか、初めて見た。いつもニコニコしてる人なのに。
「俺、奏人好きなのに、遊んじゃいけないのか?」
答えが分からない時、むやみに答えていいものじゃない。
では無垢な瞳を向けられて、否定するのを待っている彼になんて言ったらいいのだろう。
「とりあえず、家、入ろっか。ママに見つかっちゃうよ」
「…うん…」
誤魔化して、ごめんね。
でも嘘でも肯定が出来なかったんだ、なんだかだめな気がして。
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