ぶどうジュースの物語

11/30
前へ
/30ページ
次へ
夕方にはもう帰ってしまった竹中さんに、話を聞くことも出来ず。 お母さんに聞こうかと思っていたものの、晩御飯の支度をしなくてはいけない時間になっていた。 美咲さんと旦那様は外で済ませるらしく、奥様と大志くんの二人分だけ。 それでも一定の品数を用意しなくてはいけない。 料理の手伝いが終わってからお風呂の用意へと急いで。 その後にはまだ、アイロンがけが残っている乾いたシーツと服達が、山のように残っている。 終わりなき戦いとは、多分、こういう事なのかもしれない。 …今日も一日、あっという間だったな。 寝る前にちょっと宿題やって、それで本でも読もう。 じゃなきゃ全然夏休みって感じがしないや。 「雫ー!」 綺麗に洗い終わったバスタブにお湯を張ろうとした時、お母さんの声がどんどん近づいてくる。 なんだろ、掃除できてなかったのかな。 とりあえずお湯を出しっぱなしでお風呂場から出ると、お母さんはもうすぐそこに居て、たどたどしい足取りで駆け寄って来た。 「お母さん、走っちゃダメだよ、元から足悪いのに」 「違うの、奥様が急ぎで呼んでるのよ」 「えっ?私を?」 …何かしたのかな。 まさか大志くんと話してるのバレちゃった?
/30ページ

最初のコメントを投稿しよう!

68人が本棚に入れています
本棚に追加