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「あれ?どした?」
手が止まってしまっていた事に気づいて、慌てて突つくと、彼はまた向日葵が咲いたような笑顔を向けてくれた。
でも、何を話そう。
たっちゃん以外で男の人と話したことなんて、ほとんど無い私。
ましてや相手が奏人くんだから、余計に分からなくなる。
とりあえず、何かしてあげなきゃだめなんだよね。
【何か食べたいものとかある?】
「気使わなくていいよ。紀子とか大量に物買ってくるし」
そう言われたら、どうしようもない。
うーん、何が出来るんだろう。
【じゃ、好きなものは?】
「好きなもの?そうだなぁ、スイカとか?肉とか?」
肉って。
笑いそうになって、すぐに口を押さえた。
奏人くんって本当に真っ直ぐというか、裏表がない人だなぁ。
【肉って例えば?ステーキとか?】
「全般好きだよ」
【病院食、お腹いっぱいになる?】
「あー、でも野菜ばっかで結構物足りないかも」
できること、見つけた。
明日は肉料理を作ってこよう。
あとスイカも切ってこよう。
「美咲って、夏休みとか何してんの?」
何してるって、買い物か遊びに行ってるかぐらいしか思いつかない。
でもそんな事を言っていいのかな。
『美咲の顔に泥を塗るような事は絶対にしてくれるなよ』
…だめだな。
印象が悪くなっちゃう。
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