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【歌のレッスンとか、夏休みの宿題したりとか。あとは友達と遊びに】
「充実してるな、美咲らしいよ」
少し修飾しているんだけどな、でもこれでいいんだよね。
それなのに何故かまた胸の奥が、少し疼いて。
少しばかり、息苦しさを感じた。
「宿題、もうやった?美術のあれ、進んでる?」
美術のあれって、この前言ってたやつだよね。
そういえば美咲さんも美術とってたな。
進んでるのかなんて分からないけど、適当に言っておこう。
【ちょっと彫り始めてるよ】
書きながら、はたと気づいた。
今の奏人くんじゃ、彫れないんだ。
【代わりに、やってあげようか?】
「えっ?いや、それは悪いよ。あれ超面倒くさいし」
【いいよ、夏休みそんなにする事ないし】
これぐらいしか、私に出来る事なんかない。
さすがに奏人くんのお母さんも、これは出来ないはず。
「二つもするのは大変だって。それに女の子なんだし、彫刻で怪我でもしたら」
【大丈夫だよ、気をつけるから。木は家にあるの?取りに行ったらいい?】
「…なんかごめんな。でも本当にいいの?」
【うん、まかせて】
「木は紀子に持って来るように頼んどく。目が治ったら、絶対お礼するから!」
【そんなのいらないよ】
むしろ、これぐらいさせて欲しい。
罪滅ぼしにも、ならないけれど。
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