可笑しな頼まれ事

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袋からタッパを出し、準備していたフォークでそれを刺して左手で持たすと、"頂きます"と頭を下げてそれを口に運んだ。 「え、なにこれ。めちゃうまい」 褒められることなんて滅多にないから、すごく嬉しい。 心の中でガッツポーズをしてしまった。 「レバーの肉巻きだよな?にんじんと…あとほうれん草?」 【うん。全部、傷の治りに良い食材なんだって】 昨晩、インターネットで調べたのだ。 牡蠣とかも良かったんだけど、お肉じゃないと思って豚レバーにしたけど、口にあって本当に良かった。 …あれ? 書き終わっても、返答が無い。 頭を上げると、フォークを持った手の甲で口元を押さえている。 どうしたんだろう。 まさか塩の塊とかあったのかな。 【どうしたの?】 落ち着いて書こうとするものの、不安が優ってしまって、いつもよりもスピードが早くなってしまった。 「あ、悪い。ちょっと感動してるっていうか。うん、なんか感動だわ。」 今までこんな風に喜ばれた事なんてなかったから。 だから戸惑いと恥ずかしさで、どう返したらいいのか分からない。
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