可笑しな頼まれ事

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沈黙になってしまい、気まずい雰囲気になってしまった。 …何か言わなきゃ。 あ、そうだ。 【美術のやつ、持ってきてもらった?】 「明日持ってくるって。ていうか二つも本当にいける?」 【大丈夫だよ】 作るのは、得意な方。 私が、だけど。 【また明日取りにくるね】 「ごめんな。この借りは絶対に返すから!」 【気にしないで。作るの、楽しいから】 「彫る時は気をつけろよ、絶対怪我とかすんなよ」 【うん、気をつけるよ】 同い年なのに、なんか、お父さんみたい。 奏人くんって、心配性なのかな。 聞いてみても、いいよね。 【もしかして、心配性?】 「えー、どうだろう。でも多分そうかも。紀子がそそっかしいんだよ、だから自然にそうなったかも」 【そんなにそそっかしいの?】 「いや、もうすごいよ。外では演じてるだけで、本当に絵に描いたようなドジっ子だから」 見たこともないけど、きっと可愛らしい人なんだろうとすぐに想像がつく。 だから奏人くんも、しっかりしてて、明るい性格に育ったんだろうな。
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