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コン コン
「どーぞーっ」
元気な声に、口元が緩む。
ゆっくり扉を開き、起き上がっている彼の姿に、安心を覚えて。
私だよ、という意味でもう二回叩くと、向日葵が咲いたような笑みを見せた。
「早く座って涼みなよ。暑かったろ」
今日は、元気な奏人くんだ。
促されるがままに椅子に座り、軋む音を聞いた彼は手を出して来た。
「あ。それより喉渇いてない?冷蔵庫にジュース入ってるから、好きなだけ飲んで」
…いつもと違うような気がするのは、気のせい、かな?
【大丈夫だよ、お茶あるから】
「そっか。お腹は?空いた?お菓子も腐るほどあるから、食べたいやつあれば勝手に取って食べて」
やっぱり、なんか違う。
元から優しいけど、今日は一段と、優しい。
こんな気を使われた経験なんてない私は、ただただ戸惑う。
【今日どうしたの?】
「えっ?なんで?」
【なんか、変っていうか】
「いや、嬉しいんだよ。来てくれて」
やば、い。
恥ずかし気もなく、ニカッと眩し過ぎる笑顔を向けられて。
顔から、火が噴いた。
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