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ずっとにこにこしている彼に、なんて言ったらいいのかも分からない。
とりあえず、準備していたスイカで話をかえよう。
【スイカ、持ってきたよ】
「マジでっ?やったー」
本当、なんでこんなに急に可愛くなるんだろう。
母性本能をくすぐるとは、こういうことなのかもしれない。
袋から箱を出して、フォークでこの前より小さくカットしたスイカを刺した。
彼に握らせようと、手に触れた時、微かな電流が走ったように感じて。
咄嗟に離してしまい、フォークごと布団へ落下。
「ごっ」
ごめん、と、またしても口走しりそうになる。
慌てて彼の反応を伺うと、頭を傾げて。
「声、まだ出づらそうだな」
…ふぅ。
一安心して落ちたスイカを拾い上げて、タッパの蓋の上に置いて、新しい物を刺した。
今度こそはと意気込んで、出来るだけ触れないようにして、彼に渡した。
頂きますと言って、完食するまで、ものの5分もかからなくて。
男の子の食べる速さに、空いた口が塞がらなかった。
「ごちそーさまでした」
片付けながら返事として、腕を二回ほど突つくと、無邪気に笑いかけてくる。
本当、お日様みたいだなぁ。
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