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「左手貸して」
…何をするんだろう?
不思議に思いながら、恐る恐る、差し伸べられた私より一回りも大きい掌に手を乗せた瞬間、
「……っ」
食虫植物が虫を食べるかのように、長い指に包まれてしまった。
「これで慣れるだろ?」
な、な、なっ?!
平然と、さも当たり前かのように言う彼に、余計パニックになる。
慌てて離れようと、手を引っ込めてみると、ぎゅっと握る力が強くなる。
「ダメだって。もうちょっと我慢して。またスイカ落としたらどうすんだよ」
…うっ。
「看護婦さん、カバー洗うの大変なんだってさ」
ううっ。
もうそんな事はしないと言い切れなかった私は、抵抗する意思を削ぎ落とされてしまい。
声には出せず、かと言って何故か握られ続けているこの状態に悶えながら、硬直する羽目に。
奏人くんって、意外に強引…?
イメージしてたのと、違うような。
「拳握り過ぎ、ははっ」
バレてる…っ。
だめだ、本当だめだ。
恥ずかしくて、死にそうっ!
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