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「それより雫、一緒に遊ばないか」
服の裾を引っ張りながら、期待を含んだ瞳で見つめる彼に、居た堪れなくなる。
屈んで、目線を合わせて。
小さな頭をなでなでする。
「ごめんね。今から買い出しに行かなきゃだめなの」
「…そうか」
やはり、肩を落としてしまった。
でも今日は竹中さんは休みだし、晩御飯も作らなきゃいけないから、どうしても手が空かない。
「でもほら。来週のお盆、おばあちゃん家に行ったら、理沙ちゃんや拓馬くんとかといっぱい遊べるよ」
「それもそうだな。雫達も帰るのか?」
「うん」
祖父母の家はわりかし遠くの県にある。
田舎で田んぼや畑しかないけど、それが逆に都会の喧騒を忘れさせてくれる。
ちょっとした旅行のようで、毎年楽しみにしている行事の一つだ。
それから大志くんとたわいも無い話をしながら干し終えて、すぐに抹茶プリンを買いに出かけた。
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