甘酸っぱい謎に悪魔の誘惑

18/37
前へ
/37ページ
次へ
【ごめんなさい】 「え?何が?」 …しまった。 さっそく、危険地帯に踏み込んでしまった。 どうしよう。 なんて言おう…。 【怒らせちゃったから】 咄嗟に書いてみたものの、これで突っ込まれたらもう一巻の終わり。 彼が口を開くまでの数秒が、とてつもなく長く感じて、手に汗を握る。 「ああ。うん、もう怒ってないから気にしないで」 良かった、本当…良かった…。 一命を取り留められた事に心から安堵したのも束の間、好奇心は隙を与えずに顔を覗かせる。 なんで、怒ったんだろう。 やっぱり、すごく気になる。 乗り切ったばかりなのに、また危険を犯そうとしている自分に呆れ返るが、どうやって聞いたら良いのかと思案していたら、あるものが目に入る。 奥の床頭台に置かれた、ペットボトルのぶどうジュース。 怪我してなお、嫌いな物を飲んでるなんて。 「どうした?」 あっ。 会話を止めていた事にも気づいて、考える事もなく"ぶどうジュース"と書いて、はっとする。 「ぶどうジュースがどうした?」 嫌いってこと、美咲さんは知っているのだろうか。 あれは私の時に言ってくれたことだし、ここは知らないフリをした方が賢明だな。
/37ページ

最初のコメントを投稿しよう!

61人が本棚に入れています
本棚に追加