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赤みを帯びた手首には火傷を負ったみたいな、じんじんと痺れた感覚。
数分前の出来事がフラッシュバックする。
『誰にでもしてんの?』
「…して、な…っ」
声にしたら、共に感情も横溢してしまって。
あれだけ我慢していたのに、もうせき止める方法なんか残ってない。
『じゃ、ヤラせてくれんの?』
「…ひ、ど…っ…ひど、すぎ…っ」
あんな言い方、あんまりだ。
私は好きであんな事をしてるんじゃな
「誰がひどいのー?」
…い?
この艶やかな声の音は、つい最近聞いたことのあるもの。
確かめたらすぐに分かることなのだが、後ろを振り向いてはいけないような気がする。
隠れたい気持ちが先走り、無意味に息を潜めていると、歩いてきた漆黒の光沢ある高級そうな革靴が目の前で止まる。
もうおおよそ見当は、ついた。
飄々と人のバリケードを跨ぐ人なんて
「何処でも蹲って泣いてるお化け、なんか居なかったけ?」
…宇宙人以外、考えられない。
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