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ここで確かめなくちゃ、次いつ会えるのか分からない。
この不可解な疑問を、ここで解消しなくては、また長々とひっかかりそうだ。
「…なんで、ここに居るんですか」
勇気を振り絞って、控えめに聞いてみた。
すると彼は顔色一つ変えることなく、道化師のような笑顔を見せて白い袋を掲げた。
「これでも重症患者だから」
「え…?」
口を開こうとした彼は急にゴホッと咳き込み、明らかに演技をしているようには見えない。
思わぬ彼の意外な事実に驚きを隠せず、たじろぎながらも彼の背中をさすろうと立ち上がって。
あ、わ…っ。
「ちょっ」
痺れた足はフラついて、すかさずお兄さんに持ち上げてもらった腕で、なんとか尻餅せずに済んだ。
あの時と、全く同じパターン。
盛大なため息が、頭上の髪をふわりと撫でる。
「…自分さ、学ぼうよ」
「…すいません…」
返す言葉も、ございませんでした。
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