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「あの、お金」
ハンバーガーの袋を潰さないように退けて、鞄から財布を出したら、怪訝そうな顔をしたお兄さん。
「まさか俺こんなのも払えないとか思われてんの?」
「いやっ、そういうことではなくて常識的に」
「学生にお金出されるくらいなら死んだ方がマシ。さて、どこで食べよっかなー」
…もう、この話は終わりなんですか。
なんだかんだこの間もアイスクリーム買ってもらって…あ。
「あの、アイスクリーム、ご馳走様でした」
「いーえ」
ちゃんと言えて良かったと思う反面、ケロリとしている彼の態度に霞んでしまった疑問が再び浮き出てくる。
…この人、私の事、嫌いなんだよね?
優しいとは思うけど、ここまでするのは、やっぱり可笑しい。
謎が、多過ぎる。
「あの」
「ここでお食事しましょーか」
「えっ、あ、はい」
反射的に答えてから、窓の外を見るとそこは、見知らぬコンビニの駐車場だった。
アームレストに袋を置いた彼は頂きますと言って、何かを口ずさんでいる。
耳を澄ましてよく聴くと、あの曲だった。
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