抱く、壮大たる夢

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共通点もあった。 サンタクロースは幻想だと知っている。 猫より犬派。 好きな色は空色。 ぶどうジュースが嫌い。 絵を描くのが下手。 発見する度に浮かれる自分がいた、が。 …これは全部盗み聞きした情報。 しずとは友達どころか、俺の存在すら知らない。 つまり、未だに赤の他人状態。 話しかけようとは、何度も思ったけど。 タイミングが掴めず、今更なんて言ったらいいのかも分からなかった。 「じゃぁ、また明日ねー」 「うんっ、またね」 いつもの角で、ゆっちんとお別れ。 ここからしずは一人、少し歩いた先にある文房具屋の中を見つめるのは彼女の習慣のようだ。 そしていつも口を強く結っている。 この顔は、多分、我慢しているとき。 何か欲しいものがあるから。 でも彼女はきっと母親には言わない。 ただこうして、眺めているだけ。 日を重ねるに連れて、嗜好だけでなく表情で何を思っているのか、ほんの微かながら分かるようになっている自分がいた。 もちろん解明されない謎も出てくる。 文房具屋の観覧を済ませた彼女は数メートル先で信号待ちをしている。 …今日もBコースか。 まず疑問、その一。 本来、信号を待たずにそのまま左を曲がって、真っ直ぐ行けば彼女の家に辿り着く。 なのに、彼女は何故かいつも直帰しない。 だから最短で家に辿り着ける道をAコースと呼び、遠回りの場合はBコースと名付けていた。
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