抱く、壮大たる夢

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親が離婚して…? ううん、それでも可笑しい。 それか親戚の家に住まわせてもらってる、とか? だからタイシって奴のことも、毎日話に出てくるってことかな? 『あいつ相手の家んところまでとか、もうストー…テッ!』 『その単語禁止っ!可愛い弟になんて事言うのっ!』 『さっき危ないって言ってたのは誰なんだよ…』 『ちょっと紀子さん、うるさいですよ!』 『なんであたしだけ…すいません…』 ふいに嫌な予感がして、咄嗟に右を見てみるが、何もない。 なんだ、気のせいか…。 再度、謎に包まれた表札に目を戻すと中からドタバタと走る音が聞こえてきた。 やばい、と思ったと同時に勢い良く開いた門。 動揺でしどろもどろの俺の前を、スッと走り過ぎていったのはしずだった。 ………っ…! 眉間に縦皺を何本も刻んで、目の縁に溜まってた、零れそうなほどの涙。 一瞬見えた表情は脳裏に焼きついた、まるで電流のような衝撃は全身を駆け巡って、すぐに心臓の動きを容赦無く止める。 しずが、泣いてる。 頭の中を流れた警報テロップを読み解けた次の瞬間、足が勝手に追いかけてた。 幸い、足はクラスの中でも速い方で、しずはかなりノロかった。 小走りで付いて行った先は帰り道に通った、家からちょっと離れた公園。
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