動き出した秒針

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「聞いてる?」 「あっ、ごめん…」 瞑想にふけっていたせいで、外の世界から遮断されてしまっていた。 眉を寄せた彼は、一瞬呆れたような表情をして、すぐにいつもの仏頂面に戻った。 「ストーカーって、大きく分けて二種類あると思うんだけど」 自分で聞いておいて、失礼なのだが。 こんな話を真面目に分析しようとしているこいつは、相当の変わり者だと思う。 「別れた相手とかフラれた相手パターンと、赤の他人パターン」 「ああ…うん」 「それはどっちのストーカー?」 「…赤の他人、かな」 「じゃ、救いようあったのにな」 「救いようあるって?」 「怯えられんのが好きとか変な嗜好は別にして。純粋に会いに行きたいって思うような奴なら、勇気出せばよかっただろ」 勇気出す? 何に?どこに? いきなり突き出された答案は、日本語のようで日本語じゃなくて、ひどく混乱させられる。 そんな俺の心境を読み取った亮介は、頭をぽりぽりとかいた。 「だから告白すればってことだよ」 …は? 「知られてない存在だからストーカー扱いになるんだろ。誰だか分かってもらえたら解決する話なんじゃないの?」 反論のしようがないほどの完璧な正論、だと思う。 ただ一つ、どうしても腑に落ちないところがある。 「なんで、告白…?」
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