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「それだけじゃないと思うけどな。人の感じ方なんてそれぞれ違うんだし。でも独占欲出て来たら、もう恋愛じゃない?」
「独占欲?」
「だから取られたくない、とかさ」
「取られたくない?誰に?」
「…もういい」
「えっ、なんで!」
「とにかく、もういい」
諦めたようにそう言った亮介はペットボトルのお茶を一口飲んだけれど、俺の頭の中ははてなマークで埋め尽くされていた。
しずはしずであって、誰のものでもないのに。
一体、何が言いたいんだろう。
「とりあえず存在知ってもらったら前進するんじゃない?」
「あ、うん…」
確かに、それは一理ある。
そうなれば俺も心置き無く、頑張れると思う。
「…でもどうやって?」
「普通に話しかけたりしたらいいだけだろ」
いやいや、そんな簡単に出来たら誰も苦労はしないんだって…。
顔をしかめたまま返事に困っていると、彼は畳み掛けるように口を開いた。
「イベントに便乗すんのとか、アリかもよ」
「イベント?」
「誕生日とかクリスマスとか。女子ってそういうの好きだろ。気が浮ついてるから案外簡単に受け入れてくれたりしてな」
「そういうもん…?」
「長年、姉貴達を観察してる分には、そんなもんかと」
ああ、姉が3人いるんだったけ。
だからそんなに女子の心理が分かるのか…さすが。
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