動き出した秒針

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朝練を終えて、汗をタオルで拭いながら教室に入る。 季節関係なく、運動をした後の暑さは真夏のようだ。 あっつ…。 前後左右の同級生に挨拶を済ませ、机に置いた鞄の中から水筒を取り出す。 お茶を喉に流し込み、冷えた液体が 染み渡っていく感覚がたまらない。 人体の素晴らしさを身を以て感じる瞬間だ。 生き返ったところで、一限目の数学の教科書を用意しようとしたそのとき。 「何のニュースにしたー?」 「一昨日のストーカーのやつ」 背後でなされる会話に、手が止まってしまった。 話してるのは、各自で最近のニュースを選び、考察してレポートにまとめる社会の宿題のこと。 「なにそれ?」 「え?知らない?めちゃくちゃ気持ち悪い事件なのに」 「どんなどんな?」 「ストーカー、マジでキモいの。毎日ポストにプレゼント入れて、そのあと電話で気に入った?とか聞いてくんだって。マジでやばくない?」 「えげつな…」 朝から、気分の悪いことを聞いてしまった。 おかげでやる気は削がれて、…胸がズキズキと痛む。
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