動き出した秒針

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あれから"見守る"という名目で、テスト期間だけしずに会いに行った。 と言っても、まともに会えたのは、ほんの一回だけ。 明るいところで見たしずは、やっぱりすごく綺麗で、会えた時は感動すら覚えてしまった。 眺めていられるだけで、十分、幸せだと思ったのに。 彼女の視線の先にいたのはグラウンドにいる、あいつ。 でも、もうそこからは目を逸らすことにした。 思い出すと、波紋のように痛みが広がるから。 深く考えたら、立ち止まってしまいそうだから。 行き先が、霞んでしまいそうになるから。 それでも成績が上がっていく度に、達成感に浸っては、"ある疑問"に苛まれるようになっていた。 自分が貫こうとしている先に待っているのは、果たして自身が思い描いたものなのだろうかと。 どんなに望んでいても彼女からしたら、俺はストーカーでしかない。 そんな俺は、どうして彼女を幸せにできるというのだろう。 この数年間、がむしゃらに先々のことだけを見て頑張ってきたあまり、そこに根本的な問題があったなんて考えもしなかった。
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