53人が本棚に入れています
本棚に追加
部活帰り、亮介と何か話すこともなく淡々と歩いていた。
おしゃべり担当の海斗は、インフルエンザにかかり、2日前から学校を休んでいる。
「静かだな」
「ホントに」
いつもうるさいと思っていたが、いないと物寂しく感じる。
やはりああいう奴は一人くらい居てもらわないと困る。
「やっぱりああいう奴、一人は居た方がいいな」
…えっ。
思った事を、口にした亮介に面を食らった。
これって、もしや以心伝心?
「ははっ」
「何笑ってんだよ」
「今、同じ事思ったから。海斗みたいな奴、一人くらい居た方がいいって。やばー」
「それはすごいな」
ふっと笑った亮介に釣られて、また笑いが込み上がってきて。
結局海斗のおかげで、青春漫画のように笑い合ってしまった。
コンビニで冬の定番メニューと化したおでんを買い、肌寒い空の下、いつもの特等席に座る。
日が暮れるのが早く、若干暗くなった公園の景色は少し不気味だったりする。
「いつも思ってたんだけどさ、ここ、ちょっと怖くない?」
「…なかなか、な」
怖い物なんて無さそうな亮介の意外な返事が、すごく新鮮に感じた。
きっとそれはネタにして騒ぐ海斗がいないからできる素直な反応で、共感できたことに細やかな満足感に浸った。
最初のコメントを投稿しよう!