哀しい、粉雪

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「家族で過ごすクリスマスが一番だよ。俺、去年友達と過ごしたけどやっぱり家族だなって思ったから」 真っ赤な嘘で、本当に申し訳ない。 クリスマスは盛大に家族で祝うのが、我が家の家訓。 恋人のいる兄貴と優香からすれば迷惑極まりないが、それでも毎年最低でも1時間の強制参加を虐げられている。 そんな家で、俺が友達と過ごせるはずがない。 「そう、なんだ…」 「それに美咲が行かなかったらおばちゃんも大志も寂しいだろ」 「…うん」 あ、れ? 美咲は明らかに落ち込んでいた。 そんなにテンションが低くなるほど、お父さんっ子なのかな。 「おじさん、来ないの寂しいの?」 「そんなんじゃないよ。奏人くんが家族で過ごすなら…あたしもそうする」 脱ストーカーへ、一歩前進した瞬間。 胸中で何度も力強くガッツポーズをした。 踊りだしたくなるほどに浮かれまくり、油断をしていたら。 「奏人くん家はクリスマスディナー、外で食べてるの?」 「いや、家で」 「へー。でも楽しそうだね。あたしもママに頼んで家にしようかな」 「…えっ?!」 呆気にとられた美咲はきょとんとしている。 何か可笑しいことでも言ったのかと聞きたげな顔。 …可笑しいのは、もちろん俺だけれども。 家に居られるのが、一番困るんだってばっ!
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