哀しい、粉雪

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「テストやばいわー、本気やばいわー」 「もうー。そんな事言ってないで、早くこれちゃんと覚えなきゃだよ」 ゆっちんにノートを突きつけるしずは、ひどく呆れていた。 小学生の時は、ゆっちんと同じ事を思っていたのにな。 数メールの距離を保ちながら、久しぶりな彼女達の会話に耳を傾けて、懐かしい思い出に浸っていた。 テスト期間、3日目。 通いに通った今日、やっと、会えたのだ。 「嫌だよー、アルファベットとか見ただけで眠たくなんのに」 「また先生に怒られるよ?ほら、ちゃんとしまって。これゆっちんの為に作ったんだから」 「ちぇー」 「明後日までまだちょっと時間あるんだから、諦めないで。じゃなきゃ成績本当に危ないことになるから」 勉強ノートまで作ってあげるなんて、どんだけ優しいんだよ…。 ああ…数分間でいいから、ゆっちんと代わりたい。 「あたしもしずみたいに頭良かったらなぁ…」 「何言ってんの。時間だけは皆に平等なの、勉強しないゆっちんが悪いんだからね」 「ぶー」 …時間"だけは"。 何気ない彼女の一言が、やたらと耳についた。
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