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「しずは?何か欲しいものないの?」
ゆっちんを抱きしめたくなった。
俺の胸の内を代弁してくれる子なんて、昔から彼女しかいない。
これがきっと心の友なのかもしれない。
ゆっちん、ありがとう。
この恩は絶対忘れない。
唯一無二の心友に心から感謝の意を述べていたら。
「何もないかな」
………え。
何もない、って。
「え?!あたしなんか欲しい物ありまくりだよっ?!」
「ははっ、そうなんだ」
「アイロンも潰れかけだし、服も靴も新しいの欲しいし。あー、物欲やばー」
「おしゃれさんは大変だなぁ」
「でもまずは悠太のプレゼントなんだよね」
「何にするの?」
えええ…。
話はどうでもいい彼氏のプレゼントへと流れてしまって。
俺に協力せず、男を優先するゆっちんとの友情に小さなひびが入る。
「ちゃんと勉強するんだよ!」
あ、あああ…。
ゆっちんと別れる角に辿り着いてしまった。
でもしずのプレゼントに関して、何一つ有力な情報は得てない。
「もー分かったよー。ちゃんとノート見るからぁ…」
「それなら良し」
ゆっちん、最後の最後にもう一回ちゃんと聞いてくれ。
心の友ならきっと、俺の声が聴こえているはず…っ。
「あっ」
ほら、来たっ!
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