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「しかも夜から雪降るみたいだし、俺にピッタリなロマンチックホワイトクリスマス!ああー、なんか緊張してきた」
「どうせフラれるから安心しろ」
「なっ?!」
この容赦ないぶった斬りは、あくまでも亮介なりの励まし…だと思いたい。
…明日、なのか。
心臓がもたないなるから考えないようにしていたし、だからプレゼントも今日買うことにしたけど、おかげで全く実感が湧かない。
でも話すことは、もう決めてある。
あの日、彼女が帰ってからも俺は身じろぎしないで、その場に暫く留まっていた。
しずが囁いた最初で最後の言葉は、あまりにも哀しかった。
『…暗…』
諦めたような声が、未だにまとわりついてる。
あんなにも澄み切った清々しい空を"暗い"と捉えるぐらい、彼女の世界は淀んでいるのかもしれない。
好きな色さえ霞んで映る心は、いつから陰に染められてしまったのだろう。
今の自分に出来ることなんか、一つもない。
抱える苦しみや辛さなんて、俺にはきっと計り知れない。
けれど、全てを否定しないでほしい。
君のおかげで変わり、君の為に頑張ってる俺みたいな奴もいるんだと、…全部、全部、伝えるつもり。
軽蔑されると思う。
でも彼女の暗闇を照らす方法なんて、他に思いつかなかった。
悲惨な結果になっても、それはその時に考えるとする。
少しでも元気な彼女に戻ってくれる可能性があるのなら、賭ける価値はあると思う。
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