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クリスマスイブ、当日。
部活終了と同時に、海斗は急ぐと言って、ダッシュで一人帰って行った。
美咲が食事に出かけるのは18時半以降だと踏んでいる。
まだ少し時間に余裕のある俺は亮介と二人で下校した。
お互い家族が待っているということで、コンビニには寄らなかった。
「じゃ、また明日」
「うん」
回れ左をして、行こうとした亮介はぴたりと動きを止めた。
おもむろに顔だけこちらに向けて、しばしの無言。
しかもいつも以上に表情がないから、なおさら読めない。
「な、なに?」
「…頑張れよ」
「んん?…何に?」
「色々」
と、だけ答えた亮介は、そのまま行ってしまった。
相変わらず、意味の分からない奴だと思いながら家路を急いだ。
家に着いたのは18時過ぎ。
リビングに入ると…
「ぎゃっ!?何この沼?!」
「本当、下手くそなんだからーっ!ふふふっ」
「紀子さん、爆弾当た」
「ぎゃあ!」
ゲーム機のコートローラーを握りしめている、仕事終わりの優香と母さん。
その隣でオレンジジュースを飲みながら、白熱した試合を観戦しているさっちゃん。
今頃になってレースゲームにハマったお三方は、今日も仲良く盛り上がっていた。
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