哀しい、粉雪

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「あ、奏くんおかえりなさい」 さっちゃんに続いて、二人はゲームをしながら"おかえり"と言ってくれた。 先にプレゼントを渡してから行こうかと思っていたのだが、夢中になっているところを見ると躊躇してしまう。 「またそれ使って!ずるいっ!」 「これが戦いなのですよ!」 「ああーっ、むかつくっ!」 …うん、帰って来てからにしよう。 ちゃんと渡したいし。 「さっちゃん、あのさ、俺今からちょっと出かけ」 ズドーンッ! バシャーンッ! 大音量で流れる効果音に、肩が跳ねた。 反射的にテレビ画面を見やると、母さんと優香の操作してるレーシングカーがそれぞれ事故を起こしている。 「も、もう!のりちゃん普通そこで落ちないでしょー!」 「えっ、あっ、あんたの方こそっ、コウラぶつかりになんか行っちゃってー!」 言い終わった後に、何故かチラッと俺を見る二人。 …なんか、すごく嫌な予感がする。
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