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…どこかで期待してた。
いつか、受け入れてもらえると勝手に信じてた。
彼女の幸せを喜ぶのは、"俺が"幸せにするという前提の話でしかなくて。
他の奴にかっさわれる日が来るなんて、想像もしてなかった。
二人は仲睦まじい関係を築く傍らで、俺は…どうなる?
自覚したこの想いに、終止符を打てるのか?
『そういえばね、昨日お母さんがりんごゼリー買ってきてくれたの』
『お前本当好きだな』
『へへー』
…しず、ごめん。
本当、ごめん。
人生の三分の一は、君を想って生きてた。
君が俺の希望で、道標だった。
「………っ…」
ドス黒い欲に全身が呑まれてしまった。
もう自分のことしか、頭になかった。
咄嗟に鞄からプレゼントを取り出して。
用意していたカードにペンで見慣れた二文字の名前を付け足した。
僅かながらに残った理性が、罪悪感という警報を引っ切り無しに鳴らしてる。
それでも彼のプレゼントを鞄にしまう行為は止められなくて。
"自分のもの"をポストに入れた瞬間、逃げるようにその場から離れた。
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