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「お前、なんでそんなクリスマスにウキウキしてんだよ」
亮介は冷たい視線を海斗に投げて、お茶を一口飲んだ。
確かに彼女がいるならまだしも、常に片思いのこいつが何故こんなに楽しみにいているのだろう。
「へっへっへ。今年のクリスマスは俺の運命の日なんだぜ」
「は?」
「運命?なんかあんの?」
「サプライズ告白すんの!恵ちゃんに!」
「へー」
「ふーん」
何かと思えば、そんな事かよ。
まるで興味のない俺と亮介は、そのまま各自のおでんへ箸を運ぶ。
「ちょっ!俺、今回は本気なんだって!」
「…お前毎回そう言って、フラれてばっかじゃん」
海斗はブサイクではもちろんない。
ただフランクな性格が女子からすれば、友達以上に見られないらしい。
今回の相手は陸上部一年生の恵ちゃん、顔は可愛かったような記憶がある。
面識のある同級生は無理だったから、話したこともない後輩に行ったのかと疑いつつも、面倒くさいから聞かない。
「今回の俺は一味違うからな!とっておきの秘策があんだせっ!」
「…秘策?」
「クリスマスイリュージョン!」
「……………」
「……………」
こいつ、頭…大丈夫だよな?
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