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「それ、本当に効果ある…?」
「もちのろんだぜ!俺が保証するっ!」
八重歯をくっきり出した満面の笑みで親指を立てた海斗が、あのペーパー野郎が、こんなにも頼もしく見えるなんて。
「てか、どこでそれ実行すんだよ。陸上部、いつもバレー部より帰るの早いだろ。連絡先も知らないんじゃなかったけ?」
太ももに膝をついて、頬杖をした亮介は呆れた口調で海斗に尋ねた。
…そうだった。
そもそも俺の一番の問題はそこだ。
「そんなの、もうとっくの前から考えてあるよ」
海斗、頼む。
どうか参考になるようなことを!
「直接家に行くんだよ。そっちの方がサプライズ感増すだろ?」
えっ。
そうなの?
家に行くのは良いの?
…いや、でも美咲やおばちゃんもいるんだ。
そこが難問だったんだ。
ここをどうにかして解決してくれないかな…。
「も、もしさ。具合の悪い人とか居たらどうする?」
「具合の悪い人?例えば?」
「えっ、えーと、めちゃくちゃ怖いお兄さんとか、お父さん、とか?」
我ながら、なんて陳腐な発想力…。
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