哀しい、粉雪

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「あー、なるほどね。古賀くん、なかなかいいとこ突いてくるね」 満足気に頷いてるところを見ると、先生もどきの彼は既に打つ手があるらしい。 期待を胸に馳せて、次の言葉を待つこの数秒間が恐ろしく長く感じ、数分間が過ぎたような気分だ。 「探っておくんだよ」 「探る?」 「お兄ちゃんがいるのかは分かんないけど、お父さんは働いてるだろ?24日、月曜日だから仕事から帰ってくるまでに渡しに行ったらいいってわけ。送り込んでるスパイさんに色々情報は聴取してるから安心したまえよ」 な、なるほど…! そういう手があったのか! 美咲に事前に予定を聞いとけばいいのに、なんで俺はそんな事も思いつかなかったんだろう。 派手好きなおばちゃんのことだから、もしかしたら外食するかもしれないのに。 不透明だった行き先が、徐々に明瞭になっていく。 みるみるうちに高揚する気持ちが、顔の筋肉を緩めさせる。 上がりそうになる口角を抑えるのも一苦労だ。 いとも簡単に解決へと導いてくれた海斗がもう神にしか見えなくなり、人生の師として崇めることを決意した瞬間だった。
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