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大きな声はクラス中に響き、慌てて口を押さえても目は見開いたままで。
クリスマスの予定を聞くのが、そんなに驚かれることなのかと不思議に思った。
「俺、なんか変な事言った?」
「ううんっ!ただ、奏人くんに聞かれると思ってなかったから…」
…そういうことか。
それもそうだよな、今までの態度が態度だったし。
とも言えず、"そうかな?"と誤魔化す他なかった。
「あたしは予定ないよ、何にもない!」
「えっ…」
嘘だろ。
…それは困る、非常に困る。
どうしたらいいんだろう…。
「予定…あった方が良かった?」
美咲は俺の顔色を窺うながら、恐る恐る聞いてきた。
まるで子供が母親に叱られるのを怯えてるように見える。
「いやっ、そういうわけじゃないけど、その、家族で出かけないのかなーって」
「ああ…うん、一応ママと大志でご飯行こうって話にはなってるけど…」
どんどん小さくなる声は、なんだか寂しげだった。
美咲のおじさんは、仕事が忙しいらしく家に帰ってくるのはいつも深夜だと聞いたことがある。
きっと家族三人で過ごすが淋しいのだろう。
しかし、俺としては是非ともそちらに行ってほしい。
ここはなんとしてても、説得をしなければならない。
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