夜空、溶けない温度

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両手を広げても、抱えられないサイズの物まであるダンボール。 先に邪魔にならないようにバケツをドアの端っこに避難させ、ちょっとずつ外へ運び出すことから始めた。 「こんなの一人でそんなに持てないって」 駆け寄って来てくれたのは、よくクラスではしゃいでる遠藤くん。 大工をしていた彼は金槌を足元に置いて、私が持っているダンボールを代わりに持とうとしてくれた。 「英吉ー、あんた自分の仕事残ってんでしょうが」 「いや、それでもこの量は」 「大丈夫です。分担して行けます」 私のせいで、野次を飛ばされるのはあまりにも可哀想だ。 その気持ちだけで、十分嬉しい。 「作業は間に合うから!お前らちょっとは」 「俺が行く」 へ…? 右側に置いていたダンボールのせいで、声の主が見えない。 左にずらそうとしたら、ふっとダンボールが勝手に浮いて。 「…ちぇ」 何故か残念そうにしている遠藤くんに、戻るように指示を出した彼は何も言わずにそれを持って教室を出た。 さっきまで教室にいなかったのに。 いつの間に帰ってきたんだろう…。
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