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「…なんで?」
「面倒見いいからその、妹さんとか弟さんとかいるのかなって思って…もし居るのなら、羨ましいなって…」
口角は上がっているが、目が笑ってない。
微かに感じる、不穏なオーラに萎縮して声も小さくなる。
「羨ましい、ね」
「一人っ子なので…」
何故、こうも急に変わってしまうのか。
もしかして、兄弟と不仲、とか…?
「なかなか失格だよ」
「えっ?」
「行こ」
扉を開けた彼は、言い捨てるように早々と降りて行った。
失格、って…何?
幼稚な質問をした私が、失格?
いや、なんか可笑しいな…。
呆然としている間、目の端にお店に入ろうとするハルさんの姿が入ってきて。
こんな格好で一人入店する勇気のない私は、慌てて制服と鞄を持って後を追った。
「なんで待ってくれないんですかっ」
「だってとろいし」
「うっ…」
「とりあえず先に着替えて来てね」
「すいません…」
お店に入ると、清楚な雰囲気の女性店員が案内に来たけれど。
案の定、私を見るなり目を丸くして、言葉を詰まらせた。
お手洗いの場所を聞いて、一目散に駆け込んだ。
恥ずかしく、死にそう…。
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