呪われし残酷な魔術

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「そう怒んないの」 「……………」 「注文、あれで良かったの?」 「……………」 私は、不貞腐れていた。 呆れていたともいえるし、怒っているとも捉えられる。 とにかく喋りたくなかった私の代わりに、ミックスベリーのパンケーキとアイスティーを注文をしてくれた。 失礼なことをしている、のは分かってる。 ただ始終、含み笑いをされているのだから、腹の虫もなかなかおさまらない。 「もしかして、ずっと無視?」 「…そんなつもりじゃないですけど」 「けど?」 「ハルさんは、その、…軽すぎます」 「これが普通だよ」 二重の綺麗なアーモンド型の瞳が、細くなる。 カッコいいのになんでこんなにチャラいんだろう。 勿体無いと思っていたら、パンケーキが運ばれてきた。 ふわふわなパン生地に、なめらかな生クリーム。 メープルの甘さとベリーの酸っぱさが絶妙で。 見た目もさながら、味もかなり美味しくて。 単純な私はセクハラ発言をされた事など、すっかり忘れ去っていた。
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