呪われし残酷な魔術

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「昼ご飯…食べてなかったんですか?」 「うん。仕事終わってそのまま直行だったし」 ハルさんはアイスコーヒーとサンドイッチを注文していた。 土曜日にスーツを着ているのは仕事をしていたからなのかと一人で納得しつつも、ご飯も食べずに文化祭に行く目的は何なのかと気になって仕方ない。 単純に親戚の子のため、ではないような気がする。 しかし聞いたところで、まともに答えてくれるような人ではない。 「美味しい?」 「あ、はい…」 寛容な眼差しを、…疑問に感じる。 本当は、ずっとひっかかってた。 ただ聞く勇気が、なかった。 でもやっぱり、確かめずにはいられない。 「なんで、…こんなに優しくしてくれるんですか?」 泣いていたとはいえ、願い通りに連れ出してくれて。 家に帰りたくない私のワガママを聞いて、こうしてパンケーキを食べさせてくれている。 いくら思案しても、適切な理由がみつからない。 だって私のこと、…嫌いなはずなのに。 「なんでだろうね?」 「…ちゃんと、答えてください」 なんとなく、彼に対する謎が多少なりとも解明できる気がして。 いつものごとく、はぐらかそうとする彼に真剣さを訴えたくて、目一杯、口調を強めた。
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