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見覚えのある、景色。
目の前を走る、小さい背中。
『待ってっ!お願いっ、待って…!』
私は、誰を追いかけてるんだろう。
これは、記憶…なのかな。
懐かしく感じるのに、思い出せない。
『しず、何か欲しいものある?』
小学生くらいの男の子。
目を凝らそうと、すればするほど顔がぼやけて見えない。
でも大志くん…の声じゃない。
『俺、なんでもあげる』
この感覚、覚えてる。
自身の惨めさを、突きつけられて。
世の中の不公平さを、痛感させられる。
『…あなたも働いてるの?』
…ああ。
そうだった。
この子は、私が初めて。
『えっ?働く?』
…八つ当たりした子だ。
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