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バッと、いきなり視界に横断歩道を渡る小学生達の姿が入ってくる。
瞬く間に戻る意識が、夢を見ていたことを告げる。
「おはよ」
「す、すいませんっ」
「はは、別にいいよ」
「本当、すいません…っ」
連れ出してとお願いしといて、寝ちゃうなんて。
我ながらどこまで失礼な奴なんだと自身に引きながら、笑ってるハルさんにひたすら謝罪した。
それから車を走らせること数分。
着いた先は、外観がモノクロを基調としたモダンなカフェだった。
「カ、カフェ…ですか?」
「ここのパンケーキ美味しいらしいから、三時のおやつにと思って」
「え?甘いものは嫌いなんじゃ」
「君のね。俺、子供じゃないから」
「…私も子供じゃないです…」
アイスクリームといい、ハンバーガーといい。
ハルさんって、意外にすごく面倒見がいいと思う
意地悪だけど、こういうお兄ちゃんがいたらきっと幸せだろうな。
元々、こういう性格なのかな。
それとも下に兄弟とかいるからとか?
「ハルさんって、兄弟とかいるんですか?」
シートベルトを外す手が、一瞬たじろぎ。
おもむろに顔を上げた彼は、眉を寄せて複雑な表情を見せる。
…あ、れ?
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