幽霊王子は忘却の彼方

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「こんなところで何をしてるんだ?」 未だかつて出会ったことのない、紳士の典型といった外見のおじさんにすっかり魅入られてしまっていた。 そんな彼は永重さん達から立ち尽くす私に視線を移行した途端、目を大きく見開いて。 「おい、この子ってもしかして」 「ちゃうちゃうっ!」 か、関西弁…っ? 怪訝そうな顔をしてしまった私に気付いたお姉さんは、手で口を塞いだが、はっきりと聞こえていた。 「あの、もしかして…」 「えっ、なに!」 目が泳ぎ始める彼女は、かなり挙動不審になっている。 永重さんは何に唖然としているのか分からないが、とにかく空いた口が塞がらないみたいだ。 二人の反応もさることながら、いつも無意識に相手に嫌な思いをさせるか怒らせていた分、聞いていいのか躊躇ってしまう。 すると沈黙に耐えられなくなったのか。 「違うわよ!あたしじゃないわよ?!」 「へっ?」 …突拍子もない告白をしてくれた。 あたしじゃないって、どういうこと…?
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