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「えっ?えっ?何が言いたかったの?」
「あ…関西出身なのかなって聞きたかっただけなんですが…」
「あ、ああ!そういうことね!ごめんねっ、あたし被害妄想すごくてさ!ねっ?!」
「え、ええ。そうなのよ、この子ちょっと頭可笑しくってね」
すぐに関西の大学に通っていたと説明してくれたが、必死に取り繕う二人にただただ腑に落ちない。
そして微かに聞こえたエンジン音に目をやると、おじさんが乗っていた車は地を滑るように発進していた。
…私はともかく、お姉さんや永重さんに何も告げずに行ってしまうなんて。
遠退いでいく車体を見つめる私の考えていることを察したのか。
「いいのいいの!気にしないで!」
と、肩を叩いてきた。
「私のせいで気を悪くされたとかじゃ、ないですよね…?さっきこの子がって」
「ちゃうちゃ…じゃなくて。とにかく違うから誤解しないでね」
一瞬、私のことを知っているんじゃないかって思ってしまったけど…気のせい、だな。
物思いに耽る意識を呼び戻したのは、横髪を触れた永重さんの皺だらけの白い手だった。
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