幽霊王子は忘却の彼方

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「もしかして悠介くんとあの後…」 「いやっ、それは大丈夫なの。って言っても昨日まで修羅場だったけど」 「えっ?!そんなに?!」 「もう本当にヤキモチ妬きだからさ…って、それよりもさ。悠介から聞いたんだけど…達男のこと、好きだったんだって?」 悠介くんに口止めするの、すっかり忘れてた…。 しかしもう悔いたところで、彼女は既に眉間に皺を寄せている。 「なんでそんな大事なこと、言ってくれなかったの?」 「違うの、言いたくないとかじゃないんだよ。ただ…」 「ただ?」 「私は…その、あの三人が好きだったの。でも言ったらゆっちん、気遣うの分かってたから…」 小学校から続いてた、私にとって、何よりも心地よい関係。 ゆっちんが戯けて、たっちゃんが冷ややかにツッコミを入れて。 それがすごく楽しくて、嫌なこともすぐに忘れられた。 私を"私として"接してくれる、唯一、安らげる居場所。 よく大人になると、慣れ親しんだ友人でも疎遠になっていくと聞く。 でもこの二人だけとは、嫌だった。 どんなことがあっても、守りたかった。 何があっても、壊したくなかった。 大切に、大切に、したかったのに。 『…おう』 結果的に、やっぱり…離れてしまった。
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