幽霊王子は忘却の彼方

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その時、意気消沈していたゆっちんに告白したのが、悠介くん。 そして今の2人があるわけなのだが。 何故、このタイミングでその恐怖体験を持ち出してくるのか、理解に苦しむ。 「その人がどうしたの…?」 「その王子様だったのよ!」 「………へ?」 「だから!あの奏人くんって子が、あたしが見た王子様なの!」 彼女が話している日本語は、聞き取れた。 でも意味が、よく分からない。 幽霊王子が、あの奏人くん。 あの奏人くんが、幽霊王子。 「………えっ?!」 「しず、ボケ過ぎ!」 「えっ?えっ?いや、だって、えっ?!」 「だからあたしも驚いたんだって!」 「待って待って。うちの図書室にいたんだよ?奏人くん、違う中学校だよ?」 「でも絶対そうなの!見間違えるはずないもん!今でもはっきり覚えるくらいだし!」 ゆっちんの記憶力は間違っていない、と思うからこそ、混乱する。 もし本当に奏人くん、ならば。 なんでうちの学校の図書室になんかに…? 「しかも美咲の彼氏でしょ?!だから余計……ん?こないだ、しずが好きな人が美咲も好きって言ってたよね? ってことはつまり……はぁっ?!」 私はまたしても、やらかしてしまった。 ゆっちんに美咲さんの話までしていたこと…すっかり、忘れていた。
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