幽霊王子は忘却の彼方

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家に帰ってすぐゆっちんと有ちゃん、そして高木くんに各々謝りのメールを入れた。 予想以上に早く帰ってきたことを不思議に思ったお母さんには体調が悪いと嘘をついた。 心配する彼女に寝ておけと言われ、罪悪感に駆られながらも、自分の部屋に戻ってきた。 先に借りている服を洗濯しようかと思ったけれど、泣いた疲労感で正直、かなり眠たい。 とりあえず、先に洗うものをまとめていたら。 …あ。 カバンの中から、ハルさんから借りたハンカチが出てきた。 これ返すの、いつになるんだろう…。 こんなことなら、連絡先聞いておいたら良かったな。 ん? 何気なくハンカチを裏返して、あるものに目が留まる。 紺色の刺繍が施されている、のだが。 "H.K"の文字に、思わず頭を傾げる。 これって、イニシャルだよね? 五十嵐って名字なのに、なんでK…? もしかして、親御さん離婚した、とか…? って、なんでこんな最悪なことを考えてるんだ。 本人がいないところで、あれこれ推測したところで、だ。 本当のことをいうと眠たさがピークに達し、もう考える力が残ってなかった。
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