幽霊王子は忘却の彼方

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『もしもし?緒沢さん?』 「あっ、ごめんっ」 『で、どうやって知り合ったの?』 どうやってって。 なんて説明したらいいんだろう…。 「えと、私が泣いてたことがあって。その時たまたま通りかかって、声かけて来てくれて…」 『……そう』 「あの…なんでそんな事を?」 『いや、ただちょっと気になって。今日何か言われた?』 「え?何かって?」 『いや、まぁ…何かって言われたら何もないんだけど』 …なんだろう、このモヤモヤ感。 どことなく、腑に落ちない。 『緒沢さんさ、…遥人さんに相談してたって本当?』 「えっ?」 『あ、いや、鞄渡しに行った時に遥人さんにそう言ってたから、そうなのかなって思っただけなんだけど』 高木くんがなんで私を連れ出すのかってハルさんに聞いて、それで相談にのっている仲とかって答えたのかな? 話を聞いてもらったのが、相談の内に入るのか定かではないけれど。 彼がそうだと言うのなら、そうなのだろう。 「うん、のってくれてたよ」 『…そっか』 ……あれっ? 穏便に話を済まそうとしたのに、何故か高木くんの声は落胆の色を帯びてる。
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